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2015/07/17

久々に「ギリシャ悲劇全集」を開いて①  「オイディプス王」と映画「アポロンの地獄」を振り返る。

  
 
 
  
台風の最中にこれを書いています。
風強し・・・・・・・・・・。

皆さまのお住まいの地域は大丈夫ですか?



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今日はギリシャ悲劇に関する古い思い出話しです。

  (↑青文字をクリックでウイクペディア説明頁に移動します。)



書庫が満杯で整理を何度しても、
その都度、これは手放せないよという部類に入り、長年保管され続けてきた
古い古い愛蔵書の中に、
昭和46年重版と巻末に記された
人文書院発行の「ギリシャ悲劇全集」というのがあります。



これは当時かなり真剣に読み込んだ愛読書でした。
本は全4巻ですが、手持ちは3巻です。
欠けている1巻について、
思いがけない勘違いをしていることを、このほど気付くこととなり、
記憶のすり替えとも言える勘違いに我ながら驚く・・・・・・・・・・・・・・。



そのことに気付いたのはふとした心の動き、
ふと思い出したのですね、
ソポクレス作「オイディプス王」。

で、何となく読みたくなった訳です・・・・・・・・・・・・が、記憶では、
オイディプス王の物語の入った巻は無いはずだったのです。
が、有~ったのでした。
無いのは、「王女メディア」が入った巻だった・・・・・・・・・・・。

↑ この勘違いがいつから起きたのかは不明ですが、
ま、それは良いとして・・・・・・・・・・・・・・。





箱入りの本を箱から出すのが
そもそも何十年ぶりだろうか?と思うほど久々で、
背表紙が日焼けで茶色に変色した箱の中の本を取り出し、

本には、(3巻とも)
読み込んだ痕跡らしい擦れ跡や
折れ線や手垢も、それなりに付いている・・・・・・・・

しかも開いただけで、今にもバラケそうな風化具合で、
頁を開くにも慎重さが必要な状態。
(保存状態はお世辞にも良好とは言えない模様、どうやら湿度ですな、風化が進んだのは・・・。)


で、ばらけないように(笑)、
慎重に頁を繰り、読むとはなしに目をやると、
走馬灯が回る様に
当時の心の記憶が蘇ってきます。懐かしい・・・・・・・・・・・・・・・。

それはあたかも本に閉じ込められた当時の今が、
頁の中から、40年以上後の今に出現してきたかのような。





思い出します。

この本を購入したのは

パゾリーニ監督の映画、
「アポロンの地獄」を観て、それが衝撃的なインパクトとなったことがきっかけで、

※ アポロンの地獄、(1967年イタリア) :
ギリシャ悲劇の「オイディプス王」を題材にして、
パゾリーニ監督の視点で映画化されたもので、
「オイディプス王」がそもそもギリシャ悲劇の中でも傑作とされ、
「アポロンの地獄」は、それを題材にしつつ、パゾリーニ監督の斬新な手法とが相まって、
当時、芸術的傑作と評され話題となった映画です。


その後、同監督による
「王女メデイア」(1969年イタリア)マリア・カラス主演が
日本でも封切りされ、
これも観ましたが、
運命に翻弄されるオイディプス王の物語に対し
激しい愛憎を描いた王女メディアの物語は、(映像内に生きた人間の生贄など血なまぐさい場面も有り、)
感覚的には、ウグッと引くものがあり、今一受け入れがたく、

本の購入の際には、この王女メディアを、本でもまた読みたいとは思わず、
この物語の入った巻(第Ⅲ巻)だけ購入を避けたことが、
今回思い出し、いつの間にか生じていた、記憶のすり替え勘違いが判明したのでした。





ということで、
オイディプス王の章を読み返してみる・・・・・・・・・・・。
息詰まる展開の劇(戯曲)です。
紀元前のお話しでありながら、現代社会にも通じるものがあり、考えさせられもする内容です。

そしてまた、言葉を失う何とも言いがたい読後感でもあります。
この劇を実際の実演で劇場で観た古代ギリシャ人も
同じような思いで家路についたのではなかろうか?


父を殺し、母と通じる・・・・こうしたテーマが古代ギリシャの時代からすでに民衆の心の興味にあったことになりますでしょうか。
(あるいは人間って、紀元前からあんまり変わっていないのかも・・・・・・・・・・。)



訳者解説を一部ご紹介 (物語の核を見事に言い得ているかと。)

・・・・・人間のあらゆる善意の行為のむなしさ、
いや人間の全存在の無常を恐ろしい緊迫した空気の裡(うち)に描き出した。
この劇には悪人は一人もいない。
次々に行なわれる善意の行為の偶然が
王を破滅へと追いやる。
それだけに彼の悲劇には救いがない。
それだけに恐ろしい。
見物は自分の足下に口を開いているかもしれぬ深遠に思わずぞっと身慄い(みぶるい)するのである。

 ~ 訳 高津春繁 ~





映画はDVDもあります。

アポロンの地獄
 DVD



表紙の写真を見ると
ずいぶん前(40云年前)とは言え、映画館で観たときの衝撃的インパクトが蘇ります。
インパクトの内には、日本の風土とは全く違う、大地の不毛、絶望的乾燥感も含まれます。
この乾燥感の描写も、パゾリーニ監督の手法の内だったようですね。
詳しくは覚えていませんが、
日本の古楽器も効果音で使われていたようです。


アポロンの地獄
 ブルーレイ


この表紙の写真は
父を殺し母と通じるという神託を避けようと、両親の家を出て放浪する青年オイディプスが、
路上で出会った従者を連れた男(実の父親=テーバイ王)を、そうとは知らず、殺してしまう場面だろうか?


オイディプスはこの後(実際にはこの時すでに)、予言通りの運命の歯車の中に、確実に呑み込まれてゆきます。




長くなるので、ここで区切ります。

続く。













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